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読書と勉強に役立つブログ

これまでに読んだ本、これから読もうとしている本、勉強方法などについて書いていきます。

エリック・ホッファー自伝 構想された真実 中本義彦訳

自伝・評伝 一般書

この本はわたしが大学生のときか社会人になってから読んだ本であり、折にふれて読み返している。

 

名著である。図書館や本屋で探し、手にとってみる価値がある。

 

今はわたしの本棚に鎮座しているが、もともとは姉が所有していたものだ。 何かのときにもってきてしまったのだろう。

 

この本の表紙に書かれてあるエリック・ホッファーの肩書は「社会哲学者・港湾労働者」となっている。

 

彼は晩年にいたるまで大学等には属さず、肉体労働を続けながら思索と著述を続けた珍しいひとである。肉体労働をしながらでないと、思索や著述がうまくできないと彼が言っていた記憶があるが、思索や著述に興味があるひとは注意していいポイントかと思う。

 

何かものを考えるときは、部屋のなかに閉じこもって机の前に座っていてもうまくいかなかったりする。

 

それよりも、車を運転していたり、散歩をしていたり、草刈りをしているときのほうが考え事というのは深まったりする。

 

哲学者や思想家のなかで散歩を大切にするひとがいたというが、納得できる話だ。

 

わたしはホッファーのような生き方に強く共感する。必要最低限のお金を肉体労働で稼ぎながら、あとの時間は勉強と思索にささげる。

 

社会のためでもなくお金のためでもない。そうかといって自分の信念によってそうした、というわけでもなかったと思う。

 

おそらく、ホッファーにとってはそれが一番自然な生き方であり、彼はそれに忠実にしたがっただけなのだろうと思う。

 

本のなかにはたくさんの興味深いエピソードが散りばめられている。

 

適応しえぬ者たち、と題された一節では、季節労働者が二百人ほど集まったキャンプにおいて、集まった人間のほとんどに何らかの身体的欠陥があるのをみとめた。そうして、そこに集まっている人間のほとんどが社会的不適応者であると結論づけ、放浪者と開拓者の親縁性について考えをめぐらす。

 

そうして、人間の運命を形づくるうえで弱者が支配的な役割を果たしていた、と考えるのである。

 

わたしはこの文章に大いに、そして深く勇気づけられた記憶がある。今もそうだが、わたしは自分自身のことを社会的不適応者と考えているからだ。

 

今の日本社会に窮屈さを感じ、自らのことを社会的マイノリティー、社会的弱者と感じているひとは、彼の哲学に触れるといい。「自分のような人間は自分だけではないのだ」と感じることができると思う。