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読書と勉強に役立つブログ

これまでに読んだ本、これから読もうとしている本、勉強方法などについて書いていきます。

今夜、すべてのバーで(講談社文庫) 中島らも

小説 一般書

高校生のころ、この小説をなんども読んだ記憶がある。そして、大学生になってからも社会人になってからも幾度か読み返した。

 

いつの間にかわたしの本棚から消えてしまったが、中身を思い出すのはきわめて容易だ。それくらい、わたしという人間になじんでいる小説である。

 

主人公はアルコール依存症で、肝硬変寸前で入院することになる。中島らも自身が重度のアルコール依存症であり、この小説は実際に入院したときの体験にもとづいて書かれている。

 

たしか主人公のセリフだったと記憶しているが、人はみんな何かに依存しているんだ、というものがあった。依存とは、それなしでは生きることが難しくなってしまうもののことを指しているのか。それならば、生きがいや信念といったものとアルコールやギャンブルといったものにどの程度の違いがあるのか。

 

中島らもは、アルコールだけでなく、複数の薬物中毒に陥っていた。そのことを面白ろおかしく書いたエッセイが数多くのこされていて、高校生だったわたしは大笑いしながら読んだものだった。が、いま思い返してみるとせつない気分になる。

 

中島らもはお笑いやギャグを仕事にしていた。その理由を本人は「おもしろくもなんともない世の中だから、せめて芝居や小説のなかだけでは飛びきりおもしろおかしくしてやろうと思った」とどこかで語っていた記憶がある。この小説もまた、笑いながら読むことができる。

 

小説の主人公は、入院中にさまざまな体験をし、無事に回復して退院する。

 

著者の中島らもも同じように無事、退院し、一時はアルコールを絶っていたそうだ。

 

なにかのエッセイで、「だから、ぼくは生きることにした。そうしないと、死んでいったひとたちに申し訳がたたないからだ」と語っていた気がする。

 

そうして、中島らもは2004年に、酩酊した状態で階段をころげ落ち、そのまま亡くなってしまった。

 

この小説のラストに、なんとなく似ていなくもない。