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読書と勉強に役立つブログ

これまでに読んだ本、これから読もうとしている本、勉強方法などについて書いていきます。

イカの哲学 (集英社新書 0430) 中沢新一・波多野一郎

 

いろいろな本を読んでいると、「どうしてこのひとの著作や本人が注目されなかったのだろう」と思うことがある。

 

五〇年近くも前に亡くなってしまった、この波多野一郎という哲学者がそうだ。

 

この本は波多野一郎という哲学者が書いた『烏賊の哲学』というほんの短い文章について、中沢新一が紹介をし、論を展開するという構成になっている。

 

波多野一郎というひとの人生は、この時代に生きた多くのひとがそうであったように、過酷なものだ。

 

特攻隊として出撃命令を受け(けっきょく、出撃せず)、シベリアに抑留されている。

 

戦後はスタンフォード大学に留学し哲学の勉強をするのだが、そのときにアルバイトでイカを取り扱っている工場で働くことになる。

 

彼が目にするのは大量のイカ、イカ、イカ。

 

彼のなかで戦争で死んでいったひとびとや、自分自身も戦争で死にかけたこと、どうしてそんな悲惨なことが起こってしまったのかという感覚は、ずっと残っていたかと思う。

 

そうして、その感覚と目の前を通りすぎていく大量のイカがむすびつき、彼は平和のための思想を直観する。

 

この本におさめられている『烏賊の哲学』という文章だけでも、ぜひ読んでいただきたい。